(最終更新月:2022年12月)
✔当記事はこのような方に向けて書かれています
「加入している生命保険で相続税対策をしたい」
「相続税対策におすすめの生命保険を知りたい」
「生命保険で相続税対策を行う際の注意点を知りたい」
✔当記事を通じてお伝えすること
- 生命保険は相続税対策に有効
- 相続税対策に最適な生命保険の種類
- 生命保険で相続税対策をする利点について
当記事では、生命保険の相続税対策の利点だけでなく、活用する際の注意点までご理解いただけます。
ぜひ最後までご覧ください。
生命保険は相続税対策になる?
こちらでは生命保険が相続税対策となるのかについてご紹介します。
加入した生命保険次第で、減税のための有効な対応がとれます。
- 生命保険は本来、万一のための備え
- 相続税対策に最適な生命保険
生命保険は本来、万一のための備え
生命保険は本来、被保険者の万一の事態を想定して契約する保険商品です。
なぜなら、死亡保険は被保険者が死亡したとき遺族の生活保障として、医療保険ならば被保険者が病気やケガで入院したとき、医療費を賄うための備えとして加入するからです。
生命保険は、被保険者がいざというとき死亡保険金や医療給付金を受け取れるように、保険料をコツコツ払い込んで契約を継続する仕組みとなっています。
相続税対策に最適な生命保険
生命保険の中で、最適な保険商品は「終身保険(死亡保険)」です。
なぜなら、終身保険はコツコツ払い込む保険料と、一生涯保障され確実に受け取れる保険金(一時金)をうまく利用すれば、有効な相続税対策となるからです。
定期的に支払う保険料で財産を減らせば、その分相続人の相続税の負担を軽減できます。
また、相続が発生したとき受取人に下りる保険金へ非課税枠も適用されます。
生命保険で相続税対策をする4つメリット
こちらでは、生命保険(終身保険)で相続税対策を行うメリットについてご紹介します。
生命保険(終身保険)ならば払い込む保険料で着実に財産を減らせる他、保険金を受け取ってもらいたい人へ確実に渡せます。
- 支払う保険料で財産を減少させ相続税の負担軽減
- 死亡保険金には非課税枠がある
- 保険金を速やかに受け取れる
- 相続争いが起こり難い
支払う保険料で財産を減少させ相続税の負担軽減
定期的に払い込んでいる保険料へお金を回せば、着実に財産を減らせて、相続税の負担軽減に役立ちます。
なぜなら相続時に残った財産が多いと、その分相続人への税負担は重くなるからです。
そこで保有している預金・不要な不動産を売却したお金で保険料を支払います。
例をあげて説明してみましょう。
- 契約した保険:終身保険
- 加入年齢:60歳
- 設定した死亡保険金額:1,000万円
- 保険料支払方法:終身払
- 月払保険料:3万7,000円
契約者(被保険者)本人が82歳で亡くなるまで保険料を払い込んでいた場合、保険料に回せた金額は次の通りです。
(3万7,000円×12か月)×22年=976万8,000円
970万円以上も、財産を減少させたことになります。
死亡保険金には非課税枠がある
被保険者が亡くなり死亡保険金が受取人に下りた場合、非課税枠「500万円×法定相続人の数」が利用できます。
相続税に基礎控除「3,000万円+(600万円×法定相続人)」はありますが、課税価格の合計額から基礎控除を差し引く前に、死亡保険金の非課税枠を活用できます。
例をあげて説明してみましょう。
- 死亡保険金:1,000万円
- 法定相続人:2人
- その他の遺産:4,000万円
まずは下りた死亡保険金を非課税枠で差し引きます。
- 500万円×2人=非課税限度額1,000万円
- 死亡保険金1,000万円-非課税限度額1,000万円=0円
0円なので遺産にはカウントされません。
次に基礎控除を算定し、課税価格の合計額から差し引きます。
- 3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
- 課税価格の合計額4,000万円-基礎控除額4,200万円=-200万円
-200万円となったので相続税は非課税です。
保険金を速やかに受け取れる
被保険者の死亡後、手続きが円滑に進めば1週間程度で死亡保険金が下ります。
一方、預貯金の場合は銀行側が死亡の事実を知ると、故人の口座を直ちに凍結します。
相続人達が遺産分割に合意しないと、故人の口座は凍結されたままとなってしまうのです。
そのため、財産を死亡保険金として積み立てて置いた方が、受け取る側は素早く取得できます。
相続争いが起こり難い
受取人の権利として保険金を取得することを、他の相続人達に主張できます。
なぜなら、契約者が保険契約の際にあらかじめ保険金受取人を指定するからです。
そのため、死亡保険金は受取人の固有の権利とされ、遺産分割の対象となりません。
もしも、受取人を1人だけにすると他の相続人から不満が出そうな場合、複数の受取人を指定し均等に分割させる方法も選べます。
生命保険で相続税対策をする3つデメリット
こちらでは、生命保険(終身保険)で相続税対策を行うデメリットについてご紹介します。
契約内容によっては、重い保険料負担や課税リスクがある点に注意しなければいけません。
- 保険料負担が重く支払が継続できないリスクもある
- 解約返戻金を得ると一時所得となる
- 解約返戻金や年金として受け取ると相続税の対象となる場合も
保険料負担が重く支払が継続できないリスクもある
保障内容をよく検討して契約しないと、継続的な保険料の支払いが難しくなります。
なぜなら、多額の死亡保険金を設定すると、その分保険料が高くなってしまうからです。
重い保険料負担で次第に家計が悪化し、金銭的に窮乏するおそれもあります。
生活に支障が出ないよう、自分の資産額の把握や年金収入等も考慮して、死亡保険金額を設定することが大切です。
解約返戻金を得ると一時所得となる
契約者が解約返戻金を得た場合、一時所得として所得税が課せられるので注意しましょう。
契約途中で資金が必要となった場合、終身保険を解約すれば返戻金が受け取れます。
受け取った解約返戻金が、払い込んだ保険料および特別控除額を上回る金額ならば、一時所得として課税されてしまいます。
例をあげて課税額を計算してみましょう。
- 解約返戻金額:2,000万円
- 払込保険料総額:1,000万円
解約返戻金額から払込保険料総額と特別控除額(最高50万円)を差し引きます。
2,500万円-1,500万円-50万=950万円
一時所得の金額は950万円です。
解約返戻金しか所得がなくても、次のように課税対象となる金額を算定します。
950万円×1/2=475万円
課税される所得金額は475万円となり、所得税額は次の通りです。
475万円×20%-42万7500円=52万2,500円
多額の返戻金は受け取れるものの、所得税額が約52万円もかかります。
解約返戻金や年金として受け取ると相続税の対象となる場合も
生きているうちに解約返戻金や年金(積み立てた金を分割して取得)という形で受け取ると、そのお金が相続財産として、相続税の対象となります。
なぜなら、解約返戻金や年金は現金・預貯金等と同じ金融資産にカウントされてしまうからです。
この場合、死亡保険金の非課税枠も適用されないので注意が必要です。
生命保険で相続税対策を行う際の質問
こちらでは相続税対策として生命保険を利用する際、よくある質問へ回答します。
方法を工夫すれば、生前に生命保険を税金対策として有効活用できます。
- 生前に生命保険を利用して相続税対策は行える?
- 生命保険料を別の税金対策でも利用できないか?
生前に生命保険を利用して相続税対策は行える?
生前贈与を利用し、生きているうちに家族へ財産を分け与える方法があります。
現在保有している金融資産や、加入中の生命保険の解約で得た返戻金を利用し、家族へ分散して贈与していきます。
生前贈与は次のような手順で行いましょう。
- 不動産を売却や生命保険を解約し、現金を得る
- 家族1人につき年間110万円以内に抑えて贈与
- 上記の贈与方法を毎年繰り返す
この方法は「暦年贈与」と呼ばれています。
贈与の際は受け取った側に贈与税が発生するものの、贈与額が年間110万円以内ならば基本的に非課税となります。
暦年贈与を行えば自分が元気なうちに、どんどん財産を減らしていくことが可能です。
生命保険料を別の税金対策でも利用できないか?
生命保険料控除という方法で所得税・住民税の軽減に役立てられます。
この方法は毎年払い込んだ保険料を、確定申告や年末調整で申告し最高12万円が控除される制度です。
また、自分が契約者となり保険料を負担している生命保険だけではなく、家族が加入中の生命保険でも保険料を本人に代わり負担しているなら、それらを合算して申告できます。
まとめ:
当記事の内容をまとめます。
- 相続税対策は死亡保険を利用する方法が有効
- 生命保険料を支払っていくことで、被相続人の財産を減らせる
- 生命保険を相続税対策に利用する場合、保険料負担が重くならないよう注意する